米国で大手企業によるオフィス離れの動きが目立ってきた。金融大手JPモルガン・チェースやクラウド型顧客情報管理(CRM)サービス大手のセールスフォース・ドットコム、会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PWC)などは目下、オフィススペースを大量に手放しており、遠隔勤務の普及で商業不動産の屋台骨に対する需要減退が鮮明となっている。

大手企業は通常、10年かそれ以上の単位でオフィスのリース契約を結ぶ。そのため、別のテナントにサブリース(転貸)する以外にオフィスを縮小する手だては限られる。CBREグループによると、昨年末時点で、米国内ではサブリース向けのオフィススペースが前年比4割増の1億3700万平方フィートと、2003年以来の高水準を記録した。

サブリースはリセッション(景気後退)時には増える傾向にあるが、景気が持ち直せば、企業はオフィススペースを再び拡大することが多い。だが、現在不動産を手放している企業の多くは、財務的には堅調で新型コロナウイルス終息後も、少なくとも一部は遠隔勤務の従業員が増えるため、以前ほどオフィスを必要としなくなった、と話している。

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