コロナ禍から浮上へ、6社の1―3月期は17%増

 日系自動車メーカー6社の1―3月期の米国新車販売台数は、前年同期比17・2%増の計約151万台だった。新型コロナウイルス感染拡大に伴う販売店への来客数減少などで販売が低迷した2020年と比べ回復傾向を示した。一方、世界的な半導体の供給不足など部材の調達難に伴い自動車の生産が停滞しており、販売への影響の広がりが懸念される。

日産「ローグ」がアルミ端材を再利用しパネル部品に

日系各社では三菱自動車を除く5社が前年同期を上回った。日産自動車は同10・8%増の約29万台。20年10月に発売したスポーツ多目的車(SUV)「ローグ=写真」が同45・2%増の8万6720台とけん引した。

調査会社のマークラインズによると同期の米国市場全体の新車販売(推計値を含む)は同11・4%増の約391万台だった。新型コロナの影響がなかった19年の水準にほぼ戻っているとしている。

シェア争いではトヨタにも勢い

3月単月では実績を公表している日系4社の米国新車販売は、前年同月比91・5%増の計約50万台と3カ月ぶりに増加した。トヨタ自動車は同87%増の約25万台。コロナ影響がなかった19年3月と比べても18%増と好調に推移した。同社は北米で今後16カ月間に25の新型車や特別仕様車の発表を予定し、販売の底上げを図る。ホンダは同92・5%増の約15万台と、3月単月で過去最高を更新した。同社幹部は短期的に部品の供給が生産ペースに影響を与える可能性があるが、「足元の車両在庫で現在の需要増に対応できる」とコメントしている。

マークラインズによると3月の米国市場全体の新車販売は同61・9%増の約161万台だった。半導体不足による生産停止の広がりが在庫問題解決の足かせとなり、3月末の在庫日数は低いレベルが続いているとしている。野村証券の桾本将隆アナリストらは5日付のリポートで、21年に入り半導体不足の影響が各社ごとに異なり、3月には米系3社が前年同月比で市場シェアを失い、「その大半をアジア勢、特にトヨタ自動車が獲得した」と分析している。

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